この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
「ランク付けか…、ムダに度胸だけはあるわね」
ソレを向かいの席でサラっと受け流しつつ、ライターでタバコに火をつけたイイ女。
そんなコトは、まったくどうでも良い。
「ていうか私、3位かよ…!」
自分で叫んでおいて気づくあたりがバカなのだろう。
さらなるショックを自分へ課していれば、紫煙をくゆらせる向かいのイイ女。
その指先を彩るベージュピンクのネイルが、やたらと色気を放つから。
もうこれは、ドンマイ私――と言っていいですか…?
「あの男…胡散臭く見えたけど、まさか3股とはねぇ。
ある意味器用だけど、吐き出すフレーズはお子ちゃまだわ」
「・・・」
確かに付き合ってた時から何度となく、ヤツは怪しいとヒドイ事を言われてた。
でも、恋は盲目っていうじゃない…!
なんて健康重視の世相を逆走する、ヘビースモーカーに言い返す勇気はゼロだけど。