この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
ムリヤリ苦笑して、極上のヒトトキらしい喫煙タイムを満喫中の彼女を見た。
「柚ちゃん、仮にもさっきまで…」
「ソイツに丁度1時間前、強烈ビンタ見舞ったクセに」
「当たり前でしょ!」
ほらほら、ニッコリ笑いながら痛いところをグサッと突く。
そんな柚ちゃんを、魔性と言わずになんと呼ぶ?
「私なら“使いモノ”にならないよう、ひざ蹴りかますけどね?」
「ソレ、ある意味犯罪だよ」
「目には目を…――コレが世間の常識でしょ?」
彼女の豪快な性格は、“自分が法律”に思えてならない。
ああ恐ろしい…、自分の尺度を一般常識に捻じ曲げないで欲しいよ。