この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
タイミング良くノックして、時おり中の状態を窺うのは必須だというのに。
ブティック店員にあるまじき、あり得ない初歩ミスを恥じるべきでも。
ソレをお詫びするよりも早く、目の前の光景に目を奪われてしまった私。
「ど、どうかな…」
「蘭、コレが良いわ!お姉さんの言う通りねー」
スツールから立ち上がった女性が、自信なさげの蘭さんを褒めて上手にプッシュをする中。
「すっごい可愛い…!」
「え、そ、そんな…!派手じゃないですか…?」
「ええ!?絶対、これがお似合いです!」
失態晒しまくりの私といえば、店員であることも忘れてイチ客ばりの発言をかます始末。
だけど向日葵イエローのカラーが綺麗に映える、透けるように白い肌にピッタリだし。
華奢でいてスラッと伸びた足を、ホワイトのクロップドパンツがスタイルアップさせてて。
まるでオーダーメイドみたいに、すべてがピタリと彼女に合う――…
もし彼女がウチのモデルを務めてくれれば、それこそバカ売れしそうな気がするほどだ。