この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
不遇すぎて、傷心。
彼女のようになれなくても、私もヒト並に幸せになりたいって図々しく感じてしまう…。
「本当にありがとうございました。
またのご来店を、心よりお待ちしております」
「こちらこそ、お見立て下さってありがとうございました」
返してくれた微笑みは優雅で、こちらの心を和ませるほどに穏やかだった。
「なーんか素直に羨ましいよねぇ、ああいう人たちって…」
「うん、ホントです」
angeのショップ袋を携えて去った2人に、私たちからは羨望の溜め息しか生まれない。
特にアノ蘭さんという女性の空気感は、初めて体感するような気さえした――