この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
嫉妬のうえ、動揺。
ストールを持ち帰って仕事など手につきそうもなく、路地に面したカフェへ立ち寄った私。
注文したアイス・カフェラテを飲みながら、携帯を凝視しては溜め息をついていた。
祐くんの名前を選択した今、あとは発信をかけるだけだというのに。
指先がプルプルと震えてしまって、簡単なコトも手こずってしまうのだ。
いやいや…これだと、祐くんに恋していますと認めているようなモノ。
ソレは断じてちがう、チガウ、違う――…
泣いてすがるから寝た…、彼にとっては一夜限りの慰めだったのに。
勘違いを起こさせるほど丁寧に抱かれて、この気持ちのやり場が見当たらない。