この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
それを目の当たりしていると、自分が小さく見えるから悲しいモノで。
「ねぇ、なんで私って男運が無いの?」
「しっかりしてるつもりなだけで、いつも抜け穴ザクザクなのよ。
バカな男からすれば、良いカモと思われるわ」
「…良いトコ無しじゃん」
ここまでハッキリ言われると、落ち込むのがバカらしく思えてくる。
2本目の煙草に手をつける姉を尻目に、少しぬるくなったビールで喉を潤す私。
今日のビールはいくら飲んでも美味しくない…、最悪だ。
そんな私こと、朝比奈 望未(アサヒナノゾミ)24歳。
親がアパレル会社を経営していて、美術系の大学を卒業後に就職。
OL世代がターゲットのブランドで、デザイン考案や販売を担当する日々だ。
「ていうか、波乗りみたいに上手くオトコに乗ればいいのよ」
「サーフィンじゃないんだから」
「男優位の恋愛はゴメンだわ」
そして毒舌な姉・柚ちゃんは、会社経営にも関わるバリバリの実業家。