この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
尭くんの席からひとつ向こうのスツールに座る女性と目が合い、途端に子供っぽい自分が恥ずかしくなる。
「ふふっ、だって…素敵なカップルさんだなって」
「か、カップルぅ!?」
よく見ればタイトスカートから伸びた足が綺麗で、嫌味のナイ色気を纏った美人さん。
どうして会う人みんなが綺麗なの?と、溜め息を吐く前だったのに。
あまりにトンデモナイ発言に目を丸くしてしまう。
「え?…違うんですか?」
「は「いえ、そうですよ」
“はい、断じて違いますから!”と、声高に宣言しようとした瞬間。
こんな時まで淡々とした口調で、見事に私の発言をカットしてしまった尭くん。