この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
そうして尭くんにジン・トニックを出せば、バーテンさんが背を向けてしまう。
「煌ちゃん、いつものー」
「伽耶はラスト」
「もぉー…」
やたらと甘い雰囲気を感じつつも、私の脳内は腑に落ちないコトで埋め尽くされる。
ああ、これはもうドンマイ私・エンドレス的…?
「ボーっとしすぎ」
優しさを持ち合わせない男の溜め息ほど、悔しいと思わせるものは無いのに。
「早く飲めよ」
「・・・はぁい」
ソレに渋々でも従う私は、柚ちゃんや泉さんの言う通りにMだろうか?
透明に近い液体で、ごく薄くホワイトに色づいたマルガリータのカクテル。
何処となく中途半端な色づき加減が、不思議と私の心情にリンクしていた。