この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


「な…、ハッキリ言ってよ!」


色々と思考回路がトリップしていて、彼の問い掛けが耳に入らなかっただけなのに。


あからさまに溜め息を吐かれた私って、ドコまでバカにされてるの…?



何処までも失礼な彼に不満が募り、ムムッと顔を膨らませたところ。


半分ほど残っていたジン・トニックを煽って、グラスのを空にして机上へ置いた彼。



「オマエはどうしたいか、聞いてんだよ」


「…っ」


次に合致したメガネの奥の瞳の鋭さに、思わずビクリと肩を揺らしてしまう。



「いつまでグダグダしてるつもりだ?」


「っ・・・」


この一撃が心臓をグサリと貫いて、目の奥がツンとした感覚を覚えた。



この数日間…私なりに悩んでいたけど、仕事にはソレを持ちこまなかったし。


祐くんに婚約者が居る事が分かって、必死にアノ日を忘れようとしてるのに。



この件に介入した途端、何で尭くんが決断を迫って来るのよ…――


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