この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
無言の時に耐えきれなくなって、ついにスツールから立ち上がった私。
お手洗いに行くと告げて化粧室へ来たものの、洗面台の鏡に映る自分に嘲るだけだ。
いかにも自信なさげで、どうすれば良いのか分からず情けない顔。
コレと照らし合わせると、いかに柚ちゃんにヘルプを出して逃げて来たかが分かる。
結局はいつも肝心なトコロで逃げてるコドモだね…――
重い溜め息を吐いていれば、ドアのノック音のあとで人が入ってきてしまう。
「…大丈夫?」
「え、あ、はい、すみません」
ひょっこり顔を窺わせたのは、手入れの行き届いた脚線美が麗しい女性だった。