この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


いくら大人になったと言っても、こういう時は我慢ならないのが私だ。


口角のみをキュッと上げて楽しんいでる男から、そっぽを向いてしまう。



「き、気にしないもん。
バカって言う方が馬鹿なんだって、祐くんが…」


「おい」


「・・・」

続きを急かすような、苛立ちを含んだ彼の呼び掛けにも口を開けない。



“祐くん”の名前を出したのは自分のクセに、途中で押し黙るなんて勝手だ…。


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