この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
対峙ののち、様相。
まだ都会特有の暑さの厳しい夏だというのに、ヒヤリと心が寒くなる感覚に覆われた私。
勝手なのはドッチよ!と、涼しい顔をしている男にハッキリ言いたくても。
鋭い眼差しを前にすれば、目の奥がツンと鈍い痛みを覚えて口に出来ない。
これでは祐くんの態度で、あからさまに傷つきましたと言っているようなモノ。
「のん、聞いてんの?」
「・・・」
だからその視線から逃げるように、今こうして俯きすべてを避けているのは。
彼が言い放った通り、尭くんに対する印象が随分と変化したせいもある…?