この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


昔馴染みで仲が悪かったワケでは無いのに、今日はやたらとピリピリムードの2人。



不意で2度も尭くんにキスされた事も、ソレを知らん顔の祐くんも勝手すぎる。


…なんて、どうにか逃げようとしてる方が一番最悪だ。


だけど、この場から去りたくてもトライアングルの中で一番エントランスから遠いし。



色々ショックで口も開かず俯くとは、これは恋愛スキル無いな私…――



「ハッ――敵に不足ナシだ」

何やらクスリと一笑に付す祐くんが、じつに満足げに発言したのも束の間。


「・・・へ?って、ギャ…ッ」

グイッと腕を掴んですぐ、なす術も無い私の膝元を掬って担ぎ上げてしまう。


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