この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
「な、なにコレ…!」
いきなりの視野の変化で、キョロキョロ周りを見渡してプチ・パニックに陥れば。
「何って。抱っこ?」
分かりきった事まで優しく返す男のお陰で、平常心を取り戻せた。
いやいや…、明らかに私の発言もアホでしたけど。
さも当たり前のように答える祐くんだって、チョッと違うでしょう?
「ちょ…、下ろしてよ!」
ふわりと浮かぶイヤな感覚と、強い力で支えられた感覚とがせめぎ合って困る。