お姫様の苦悩
01:ロマンチスト
『この国一番美しいお姫様――――…』


『魔法で―――――…』


『王子様のお妃様を選ぶ舞踏会――――…』


『王子様のキスで――――…』


『幸せに暮らしましたとさ――――…』





バチッと目を開き、体を起こせばたっぷり睡眠を摂ったのに疲労感が全く取れていなかった。





久し振り……と言ってもここ数年は見なかった夢にどっと疲れが襲ってくる。





ベッドの上でチカチカと光る携帯を開けばメールが届いていて、送信者は悪夢の元になった人物からだった。





一通りメールを読み返信はせずに、またベッドに体を沈める。





夢って朝起きたら覚えてないものだけど、今日見た悪夢は記憶に鮮明に残ってるもので忘れるという事が出来ない。





忘れたいと強く思うものは何年たっても忘れる事が出来ずに強く印象に残ってしまっている。




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