お姫様の苦悩
適当に文章を打ち、姉にメールを送って私もソファーに座る。





「頼みって?」


「頼みっつうか………まぁ、俺を助けろ。」


「助けろぉ?」


「チッ、助けてくれ。」





長男だからか、頼み事する態度がデカイ。





「また女?」


「そう。」





これで何度目だと頭を抱えたくなるが仕方ないのかも知れない。





兄、和生は大の女嫌いで姉の美奈さえも苦手にしている。





「会社の後輩でさ、すんげぇモーションかけてくる女がいんだよ……。」


「俺、見たことあるけど結構可愛い女だったよ。世間一般的に言えば守ってあげたくなるとか言われるようなやつ。」


「そうなの?珍しいーっ。お兄ちゃんご飯行ったんだ。」


「兄ちゃんのアパート行った時に、張り込んでたのを見たんだよ。」





悠貴の言葉を聞いて一瞬固まってしまい、徐々に口元が引き吊る。




「それって、もしかしてストーカー?」


「もしかしなくてもストーカーだ……。」




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