お姫様の苦悩

｢おはようございます。若王子さんですよね、初めまして。取り合えず2週間ほど蜜姫を預かります。期間が延びるようであればまた連絡致します。では、失礼します。｣





――――――ちょっと待って。





一気に捲し立て、一方的に切りやがった兄。





｢あ、自分の名前言うの忘れた。｣

｢ちょっとっ!今のなんなの!?お兄ちゃんの名前とかどうだっていいのよっ。私の兄だって言わなきゃ誤解されちゃうじゃない!｣





譲さんにだけは誤解されたくなくて、電話したのにさらに酷い誤解を招く言い方。





｢もう、返してっ。｣





ピンクの光りを発しながら着信音の鳴る携帯を、返してと言いながら奪い取り慌てて電話に出る。





｢もしもしっ!｣


『……蜜姫さん?』


｢譲さんっ。さっきはごめんなさい!あれは、兄なんです。本当です!｣


『お兄さんだったんだ。ビックリしたよ。大丈夫、信じるよ。』