お姫様の苦悩
それじゃあ、と言って薔薇の花束を渡され若王子さんは通り抜けて行った。





すぐに追えば十分間に合うが、あまりの勘違い発言に体の力が抜けてしまった。





私は確かにきっぱりと断ったはずなのに、若王子さんに違った解釈をされてしまった。





この花束どうすればいんだか……基本面倒くさがりな私は植物の世話なんかしない。





寧ろ薔薇の花束なんて邪魔で仕方がないんだけど。





彼は今度うちで結婚式を挙げる方の家族だし、失礼な事をしてしまったら最悪キャンセルになってしまうかもしれない。





そうなってしまったら、私の仕事にも関わってしまう。





大変な事になってしまった……いや、大変なんて言葉じゃ片付けられない。





やれる事はやろうと、玄関に鍵を差しドアをあけて靴を脱ぎながら姉に電話をかける。




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