お姫様の苦悩
今日は、客室でも要注意人物であるお得意様の依頼が凄く走り回らなければならなかった。





掛け布団が重いから軽い布団に、枕も低反発枕に変更、空気清浄器と加湿器も設置………とあれこれしなければならなかったからこんな時間になってしまったけど……。





こんな日に限って気まずい現場に遭遇してしまった。





エントランスを通り、エレベーターに向かえば寄り添う男女。





その男性の方は見覚えがあり、後ろ姿でも譲さんだとわかった。





―――――――なによ……彼女いたんじゃない。





譲さんは女性の腰に腕を回し、女性は体を預けエレベーターを回っていた。





告白は嘘だったんだと、からかわれたんだと思ったら苛立って来た。





声をかける事なく、2人の隣に並びエレベーターを待つ。





｢っ…………あ、の。｣


｢ん?どぉしたの〜?｣





譲さんが何かを言おうとしたみたいだけど、隣の女性がすぐに反応してくれたから私は無視を続けた。




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