お姫様の苦悩
「じゃあ、行ってくるね。」


「いってらっしゃい。」





パンプスを履き、悠貴に見送られ部屋を出る。





タイミングよく、エレベーターは降下している途中で急いでボタンを押した。





いつもは車で行くから地下1階まで降りるけど、今日から暫くは悠貴が荷物運びの為車を使うから電車で行かなければならなくなった。





バスもあるけど、乗り換えが面倒で20分かかる駅まで歩いて行く。




閉のボタンを押し壁に持たれかかるとガタンっと音がし、エレベーターの扉の隙間から手が見えた。




「すいませんっ、乗ります。」





全力疾走して来たのか、少し呼吸が乱れている譲さん。





「あ……おはようございます。」


「おはようございます。」





譲さんの姿を見た瞬間、咄嗟に視線を逸らしてしまった。





いや、別に逸らさなくてもよかったんだけど、見れないというか見たくないというか……。




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