蜉蝣~大切なキミへ
「はぁ、帰るのダルい…」
沙紀と別れた後、私は一人で公園に入った。
ブランコ目指して歩く。
ギィ―
「中野くんかー…」
私はふと教室で言ってた沙紀の言葉が浮かんだ。
「病気って…どんな病気なんだろー」
砂場で幼稚園児が遊んでいる。
「中野くん、遊ぶこともできないのかな」
pipipi
突然携帯が鳴った。
発信者は及川沙紀。
「もしもし?」
[今どこにいるの?]
「え、公園だけど」
[まぁ、いっか、中野くんの病院が分かった]
「はっ?」
いつも沙紀の情報網の広さには脅かされている。
でもこんなはやく…
[○×中央病院だって]
「だれから聞いたの?」
[隣のクラスの子がお母さんに聞いてみたんだって、なんでも中野くんの幼馴染みたいで、いつかは話そうと思ってたんだけどーって言われたらしいよ?]
「へ、へー…」
[行ってみれば?プリントとか持ってさ]
「な、なんで」
話したこともないのによくそんなことが言えるよなー沙紀は…
と呆れながらも少し行ってみたいという好奇心もある。
[夕奈のことだから気になってるんじゃないの~って思ってさ]
「・・・・ま、まぁ」
ダメだ、沙紀にはお見通しかっ。
明日行ってみようかなー
「とりあえず、明日ねっ。ばいばい」
[え、あー・・・ばいば]
ガチャ―
沙紀が言い終わる前に電話を切った。
「そろそろ帰るか……」
気付けば6時を過ぎていた。
私は急いで公園をでた。