コール ミー アゲイン~そらへこの想いが届くように~
―あなたがいたから―


 ひんやりとした空気。


 そのうち、ガスが出てきて前も見づらくなってきた。


 汗だくになりながらも私たちは山の方へ行った。


「ひきかえす? やっぱ危険だもん」


 そのとき私はそんなには危険を感じてはいなかった。


 よっちゃんがいたから。


「そうする? ものすごい勢いで雲が動いてるね」


 だんだん目の前も暗くなる。


 まるで夜みたい。


 雲間からの光がよっちゃんを照らし出した。


「おお、晴れてきた」


 なんて神々しい。


 なんてりりしい。


 愛する人。


 ずっと、見ていたいな。

 
 そう、ずっと。


 その気持ちが背中越しに伝わってしまったのか、よっちゃんは白い歯を見せて、こちらをむいて笑った。


 やられた。


 微笑みひとつ。


 まなざしひとつで心がときめく。


 このひとは……それを、知って、いるんだ……


 よっちゃん。


 あなたと息をしていたい。


 この大地に。


 この星に、深く、深い深海に埋めてしまいたくなるほど、口に出してはいけない言葉。

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