コール ミー アゲイン~そらへこの想いが届くように~
―もっちーの勇気―


 だけど顔良し、性癖悪しはもうゴメン。


 と二人は泣きごとを言う。


「二人とも、そんなヤワじゃ恋なんてできないよ」


「今更言いたくないけど、心は乙女なの! 嘘でも良いから優しいひとが良いー」


「キナコはちょっとクールなのが好みじゃなかったっけ?」


「クールがあんなんだったら、宗旨変えするわ!」


 身も蓋もないことを……私が呆れていると、


「それでもって、一人で五股もかけて欲しくはないもんだわ……歌舞伎町のホストか!」


「いやいや、もっちーはすごいよ」


 聞いてみると、初対面でいきなり男子に急接近して


『今付き合ってる人と別れてください。わたしと付き合って』


 って言ったんだって。


 そりゃあ、勇気は認めるけれどさ、フツーの男は引くでしょ、たぶん。


 ところが、その時ばっかりは幸運の神様がゆっくりいらっしゃったみたいで、相手は押されつつもこう言ったって。


「いいえ、付き合っているひとはいません。こ、光栄です!」


 て、キナコ談。


「ね? がんばったでしょ? もっちーみたいな美人に強気で押されたら、ぜーったいオチない男はいないって。あたしずーっと前から思ってた」


 ふーん、あのクールなもっちーがねえ。


「よっぽど好みだったんだ」


「眼鏡は外してたわ。だから、相手の顔は見てない。というより、見えてたら絶対できないわ」


「すっごーい。もっちー、それ伝説級」


「その挙句がこれよ」


 もっちーは、げんなりと、私の勉強机に這いつくばっている。


 精根尽き果てた、という感じだ。



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