コール ミー アゲイン~そらへこの想いが届くように~
蜜月
―蜜月―

 そんな出がけのもんちゃくを忘れてしまうくらい、私はよっちゃんとの蜜月のような時間を過ごし、友人らそれぞれのお菓子もちゃんと買ってくつもり。


 その名も地域限定のキティちゃんストラップ。


「ハハッ、カラフルチョコだって。N&Nとどう違うんだよ」

 
 よっちゃんは言うけど、人気なんだよ?


「違わないみたいだよ。提携してるらしいし」


 なあんだ、と少し気の抜けた顔で笑んだよっちゃんの顔は、けだるげで、私なんかには知り得ない重みを抱えているように見えた。


 だから、私にはなにも言いだせなかった。何も……


(あせっちゃ駄目。焦ったら、何もかも……だから、だめ。哀しいけどそれがさだめなのなら……)


 移動中の電車の中でうとうとしかかって、彼がそれをなんにもせずただ見ていた、というつまらない理由で喧嘩をした。


 だって、恥ずかしかったんだもん。


 そんな馬鹿馬鹿しい理由で、言い合いをしていたところへ、メールが入った。


 私は表情をくつろがせる。


 良いタイミングだ。


 すぐに通話に切り替える。


 切るよ、とはさすがに言わないけど、何かあったのかな?


『キナコ? いま、電車中~』


 でも、驚くほどひとがいないんだ。


 だから、こっそり、なんでもオーケー


 網棚にはリュック二つ。


 一つの車両に二人きり。


 きっと、なにしててもわかんないよ。


 どっきどき。


 行く手にはどんどん、家並みや商店などが沈み込み、田園風景がさわわと風に波打って、きっと赤毛のアンなら、絶賛する。


 だから、彼氏も苦笑いでご容赦くださるのよ。


『二人ともラブラブなわけ~? そうなのオオオ』







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