セカンドチャンス
『あのー、波はいつもこんな感じなんですか?』


海から上がって、駐車場へ戻ると背の高い男がいた。


私の車の隣の隣のスペースに止まっている見慣れないクリーム色のミニバン。
サーフボードを積んでいる。
東京のナンバーだ。

「私も久しぶりですから、今日はある方かと思いますけど」

よく、こんな遠くまでサーフィンしに来るなと思う。
都会近郊の海はすごく混んでるからって来る人が結構いるらしい。



『良いですねー。でも土日は混みそうですね。4月からは土日しか来れないんで…あ、私引越して来たばかりで。大西と申します。また会うかもしれませんね。趣味と言ったらこればっかりで』


そう言って苦笑いする彼。
よく見たらはっきりとした顔立ちの正統派なイケメンだった。
年は私より少し若いだろうか。


サーフィンやるために引越し?まさかね。



「私は高野です。たまにしか来ませんが。ではそろそろ娘に朝ごはん作ってあげなきゃ行けないんで」


『引き止めちゃってすいません。じゃ私も海入って来ます。では』


大西さんは車からピカピカのブルーのサーフボードを下ろすと、海へ向かって駆け出した。


ウェットスーツの後ろ姿はモデルの様。

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