スキスギテ
2章

だいすきなんだよ




─────

季節は流れて夏休み
携帯がなくて不便だと思っていたので
お母さんに頼んで買ってもらったんだ

彪流のアドレス
わかりやすいから覚えていて
すぐ登録してメールしたんだね


夏休み
ちょこちょこ遊んだりした


『きょう昼までな〜

午後から練習なんだよ』


8月27日…朝の9時半から
彪流んちで遊んでた

練習ってバンドのだよね

ギターヴォーカルって言ってたし
やっぱりなんかすごいひと。


『うん…──』


なんかね アタシって
ほんとわがままだから
帰れって言われても帰らないんだよね

もっと一緒にいたいもん

クラスも学年も校舎も違うんだよ
制服の姿なんて見ないんだよ

悲しいから
一緒にいたいって思うんだよ
いけないことなの?


でも 彼女でもないもんね…
いけないのかもね


それでも今日もアタシは
帰らないもんね

午後のほうが何時間も
会っていられるんだよ

ずるいじゃん

アタシずっといたいのに
アタシもうた聴いたりして
彪流のこと見ていたいのに
男ってずるいじゃん

アタシ男になりたいよ
友達優先にするんだよ 彪流って
友達大事にしてるからいいけどね
やっぱ悲しいよ



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