⁂ダイヤモンド⁂
「でも、初めて会った時よりは色気が出てきたな」
秋山さんはあたしをじっと見つめていた。
「そりゃ、当時は……若いですもん」
「あぁ、女の子から女に変わったっていうか、まぁ…女は男で変わるからな」そう、ウイスキーを飲みほすと、あたしに作れと言わんばかりにグラスを目の前に置いた。
“女は男で変わるからな……”
なぜか、その言葉に動揺していたのか氷がうまく掴むことができず、テーブルの上を転がっていった。
「あっ、ごめんなさい……」
そんなあたしを秋山さんは鋭い目で見ていた。
「でも、変わってないものが1つだけあるよ……」
「えっ~何だろう~!」
上手く笑って見せたつもりだったが、きっとそれは笑顔とは呼べないものだっただろう。
「未来の、その目だ……」
「-----っ!!!」
あたしは、仕事中にあんまり沈黙を作ったことがない。
それは、自分でも驚くほど。
どんなお客さんだろうが、どんなことを言われようが、お店のフィールドに入った瞬間に、あたしの脳の中はたくさんの言葉たちがまるで準備運動するかのように、グルグル回り始める。
それを店長は天性だというが。
普段、無口であまり会話をしないあたしに、一緒に席に着く女の子たちが動揺するくらい、どんどんあたしの言葉たちは、溢れだしてくる。
だけど、乱されている……
初めて、黙りこんだ自分がそこにいた。