⁂ダイヤモンド⁂

“え………”


自然とお酒を作ろうとした手は止まり秋山さんの後ろ姿からとっさに目を反らした。

目を閉じあたしの頭の中に浮かんできた姿と、今の秋山さんの後ろ姿が重なり胸が締めつけられる。


寂しそうな後ろ姿……
あの時の店長と同じ後ろ姿……

ふたりの言い放った同じ言葉。

全てがあたしの記憶と目の前の現実がリンクしていく。


はっきり言って何も共通点がなさそうなふたり。


いつも真剣であまる表情を崩さない店長。

優しさがにじみ出ている秋山さんの顔。



その二人があたしの中で重なって、あの言葉の意味を深く考えさせられた。



「わぁぁ!!!」

「なんだよ、そんな驚かなくても未来がボ―ッっとしてるからだよ」

「未来のせいで注目されたじゃねぇか!」


あたしが大声を張り上げたのは後ろから両肩を叩かれたからだ。

いつの間に……

秋山さんは大きく口を開けて笑っていた、いつもと変わらない笑顔で。



「秋山さん……?」

「んっ?」

「なんか疲れてない?」


とっさに出てしまった自分の言葉に驚き、あたしは秋山さんを見つめた。


「それを、未来に癒されにきてるんだよ」


作りかけのお酒を自分で作りながら、秋さんはやっぱり笑顔を絶やさなかった。


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