⁂ダイヤモンド⁂
この人は、どうしてこんなふうに笑えることができるのだろう。
秋山さんの笑顔になぜか、あたしまでつられてしまう……
同じ人間なのにこうも違う。
“未来のその眼だ……”
秋山さんの瞳に映るあたしは、どんなふうに笑っているのだろう……。
「未来?」
「んっ?」
そう秋山さんのほうを振り向くと。そこにはもういつもの秋山さんの笑顔は一瞬でなくなっていた。
「お前はいい女だ、絶対に幸せになれるよ」
「絶対……?」
「ああ、絶対だ」
“絶対”なんて言葉を口にするなんて、その自信はどこから出てくるのだろう。
「絶対……ね」あたしは、少し馬鹿にしたように笑った。
「ただ、自分の幸せは自分でつかまなきゃいけない」
「そんなの、わかっているよぉ!!」
ため息まじりにグラスを口に運ぶと、あたしのグラスを横取りしテーブルに戻した。
「どうしたの?なんか今日の秋山さん変だよ?」
いつもと違う秋山さんに苛立ちを感じながら、横取りされたグラスをまた取り、飲み干した。
秋山さんはそんなあたしをじっと見つめていた。
「未来を信じてるよ」
「えっ??」
「心を取り戻すためには、誰かを愛すんだ」
そう言うと、黒服を自ら呼びおあいその合図をした。
「帰るの?」
「今日は飲みすぎたからな」
大きな手であたしの頭を優しくなでると、いつもと同じ笑顔を向けた。
「またな、未来」
「またな、ってなんかやっぱり変っ……」
秋山さんは苦笑いをし、あたしのさんグラスに自分のグラスを合わせた。
「お疲れさま」そう呟くと静かにコースターの上にグラスを置いた。