⁂ダイヤモンド⁂

待機場所に戻ると、すぐに黒服があたしを呼びに来た。


「未来さん、次よろしくお願いします」

「あ、うん」



店長の視線を凄く感じているような気がして、気になってはみたが、すぐさま新しい仮面を装着させると作り笑顔を振りまきながら、次のお客さんの席へと着いた。


「未来ちゃん、5年目おめでとう!!」

「ありがとう~!!」

そう、誰もが祝福してくれる……
だけどあたしの心境は複雑だった。



“何か学んだものや、手に入れたものはあったのか?”


秋山さんの言葉がもはや呪文のようにあたしの脳内で繰り返される。


そんな中、今日はあたしを指名するお客さんが引っきりなしにいて、いつもなら自然と切り替えられるあたしも、今日だけは混乱していた。


いつもどおりの自分を発揮できずに、お酒がよく回り何度も何度も自分の時計に目をやり、閉店の時間が早く来るのを願っていた。

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