⁂ダイヤモンド⁂
「あ~っ!!!未来さ~ん~!!」
背後から、あたしの名前を呼ぶ甲高い声。
顔を見なくてもそれが誰なのか分かってしまうあたしは、彼女に一体どれほどの険悪感を抱いているのだろう。
目を瞑り、小さくため息を吐くとおもいきって後ろを振り返った。
「美波」見た瞬間に、相当な量のお酒の量を飲んだんだと一瞬で分かるような足取りだ。
「待ってくださいよぉ~!!!」
嫌な奴に出くわしてしまったと、心の中で思いながらもあたしの足は止まった。
店が終わってこんな短時間で、どんな飲み方をすればこんな風になれるのか、出来るなら詳しく教えてもらいたいほどだ。
誕生日のお祝いをして貰って、あんなにもお酒を飲んだはずなのに、冷静でしらふに近い状態でいる自分に少しだけ虚しくもなる。
「大丈夫?」
ようやく、あたしの位置まで並んだかと思えば、あたしの腕を掴み「飲みに行きません?」と今まで見たことのないような真剣な顔つきをした。
「え?あっ、うん……」自分でも驚いた。気がつけばそう返事をしていた。
「えー!!本当ですかぁ~?」といつもの甘ったるい声の美波の口調に戻った時、なんでこの娘と……。なんてOKしてしてしまった自分に酷く後悔をした。
「じゃあ、あたしのお勧めの焼き鳥屋さんに~♪」
足元をふらつかせながら、歩いている美波を見ながら、これ以上飲むつもりか?なんて思ったけど、なんだか少しまんざらでもない自分もいた。