⁂ダイヤモンド⁂
「生2つ!!」
そう威勢のいい声をだしたと思ったら、大きなため息をつきながらテーブルに身を預け、顔も伏せた。
大丈夫?なんて気の利いた言葉を言えるようなあたしじゃないけど、見るからに大丈夫そうでもない。
それでも「あ~飲みすぎた~~」なんて言っているのだから、彼女はきっと自覚しているのだろう。
これと言って、話しかける言葉も見つからなければ、探すまでもなく、あたしはメニューを手に取った。
「……さん」
「えっ??なに??」
周りのうるさい声にかき消されたが、美波が何か言いかけたのは間違いじゃなさそうで、少しだけ身を乗り出して声をかけた。
「未来さんってぇ、なんか変っ……」
「はっ?」
唐突すぎた言葉に、あたしの顔は一瞬険しかったに違いない。
「お待ちどうさまです!!!」2人の微妙な雰囲気を定員が割って入ってきてジョッキを置いた。
「お疲れ」そのまま、美波のジョッキに自分のジョッキを重ねて小さく音がなった後、あたしはまるで水を飲むかのように流し込んだ。
視線を感じる……
下に目を戻した瞬間、美波はダルそうに顔を上げ、とろりとした瞳であたしを見つめていた。