⁂ダイヤモンド⁂

「バッグの中きたなぁ~」

「うっさいよ!!」


キャハハハッと笑う美波の声に、自然と笑顔が零れていた。


確かに、美波によって最近自分でも驚くほどの沢山の感情が動き出す。


嬉しいとか、楽しいとか、今までになかったそれはきっと明るい感情……


「早く~行きますよっ!!」

「はい、はい……」


先に玄関を飛び出した美波に続き、玄関でパンプスに足を入れた瞬間、振り返り自分の部屋を見渡すと、なぜだか、真っ白く統一させていた部屋に温かみを感じた。


「うわっ、眩しっ……」


「はい?今日、曇ってますよ?しかも寒いし~」


一瞬だけ、振り返ったが美波は足を止めずにスタスタと歩き始めた。


あたしの足は自然と止まる……


何気に玄関から外へと足を踏み出したものの、考えてみれば昼間にこうして外に出るのは何年ぶりだろうか……


あの日、店長に拾われて以来あたしは昼間の光を浴びたことなんてなかった。


久々に見上げた本物の空がなぜだかあたしの心を涼しくさせる。


毎日この道を通っているはずなのに、まるで異次元の空間のようだ


でも、悪くないのかもしれない……



こんな景色があったことすら新鮮で、おもいきり空気を吸い込んでみた。



「ちょっ、何してるんですか~!早くっっ!!!」

大きな声であたしを呼ぶ美波に、止まっていた足が動きだす。


周りを見渡してみても、なぜだかみんな表情が明るく感じ、夜すれ違う人間達とは違う気がした……。

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