⁂ダイヤモンド⁂
重い空気……
一気に冷たくなった空間。こんな空気が重くなるのはなんだか苦しい。
「あ、そう言えばさ……店長の元に秋山さんから連絡ない?」
その、空間にいてもたってもいられなくなったのは、自分でも不思議だったがあたしだった。
「ああ、俺も聞こう思っていたんだよ、こっちにも全然連絡なくてな」
「そう……」
「秋山さんが未来から離れるってことも考えにくいんだけど、でもこんだけ来ないと何かあったのかもな」
「何かって?」
「わかんね~けど、店には、なんだかんだ連絡よこす人だったからさ」
「えっ?全然来てないんですか?」
体を前に乗り出しながら口を開いたのは美波、その表情はさっきの悲しそうな顔をした美波ではなくて
少しだけ、ほっとした自分がいながらも、そんな感情が溢れた自分に、またため息と共に首をかしげて外を見つめた。
「未来の5周年祝い以来、姿見せなくてな……」
「えっ?じゃあ、もう1ヵ月くらい??」
「ん~そうなるな」
自分に関係していることなのだろうけど、なぜだかその会話に入って行けずにいる。
あたしが何か言ってしまったのだろうか……
確かに、いつもの秋山さんではないことは気づいていたのだが、あまり気にしてはいなかった。
また、すぐに顔を出してくれるだろうと思っていたから……
「あれ?おかしいな、あたし秋山さんに会ったんだよな」
「えっ、最近?」
「3週間くらい前かな病院で」
「病院?なんでだろ……」
「健康診断かなんかだろ、あの人元気だからな」
なんだか無性に嫌な予感がしたが、店長のその一言でその話についてもう誰も触れなかった。