⁂ダイヤモンド⁂
「うわっ、何この人混み、無理だ……」球場に着いて、思わず発した言葉。
「だって、オーーーープン戦だもん当たり前だよ」
店長と美波はどんどんそれを、上手くよけながら前に進んでいく
もう、春だからと言ってもまだこの時期の風は冷たいはずなのに、熱気が伝わってくるこの場所は少しだけ暑苦しく感じる。
「野球なんて本当に興味ないのにオープン戦ってそもそもなによ」」周りをキョロキョロしながら呟き一生懸命、二人の後を追った。
「未来~早くしろ~!!」
まるで、人が違うかのようにはしゃいでいる店長を見て、よっぽどの野球好きなんだろうと思いながらも、そもそも行く相手が欲しかったのは店長なんじゃないかと思いながら、小走りに駆けよった。
「うわぁ~満席だな~!!」
「すご~い!!」
その光景には、あたしも目を疑った。
広い球場に沢山ベンチが並び、沢山の人達が座っている。
「ひろっ……!!」
「ここの席だっ」
店長と、美波が座ると、二人の間に1つだけ席が空いている。
「何やってんだよ、早く座れ!!」美波も、真ん中の席を叩き「早く!!」なんてせかしながら。
ゆっくり腰を下ろすと、また周りをキョロキョロしてしまい、そんなあたしを見て店長と美波は笑っていた。
「なに?」
「だって、未来さ挙動不審だぞ!!」
「うるさいよ、だってこんな人混みありえない」
「びっくりするとは思ったけど、たまにはいいだろ」
その店長の言葉に美波は、ウンウンと相槌をし携帯をいじっていた。