⁂ダイヤモンド⁂


それでも、あたしはいつものように笑い席に着き仕事をする。


「はじめまして、こんばんわ」



しっかりとスーツを着こんだ男性二人が、新規であたしを指名した。

見たことのないような人、この店に来たのも初めてだという……。


「こんばんわ、未来ちゃんだよね?」

「はい」


笑顔でそう返すと、二人は凄く緊張している様子で黙りながらも、二人目を合わせながら何かを言いたそうな顔をしていた。


こういうタイプのお客さん達はあたしの中でも苦手なタイプの中に入る


新規のお客さんなら尚更だ。



「焼酎は、なに割りにします?」


重い雰囲気を、なくしたくて言葉にすると「あっ、なんでも」二人揃って言われ、ボトルの隣にあるお茶を注いだ。


笑顔でお酒を作りながらも、あたしの頭の中はフル回転している。


この状況をどうやって乗り切ろうと、言葉を探しながら……



「あの……」

「はい?」


助かった……


そう心で思いながらも深刻な顔をしている一人の男のの人に目を向けた。


「秋山さんって知っているよね?」

「えっ??」


前振りなど何もなく、突然発した言葉にあたしはあまりにもびっくりし、二人の顔を交互に見てしまった。


「あ、はい……」


嘘つく必要などない、

むしろ、その人の話ならあたしも深く知りたいものだから。



一瞬、緊張感が解れたような顔をすると「こういうものです」とあたしに名刺を差し出し、あたしは順番に両手で受け取った。


「菊池さんに皆元さん……」


そして、自然とあたしの目は会社の名前が書かれている名刺の上の方に向けられていた。


「えっ……もしかして」

「そうです、秋山さんの下で働かせて貰っているものです」


その時、あたしは気づいた、ここに足を運んできたのは秋山さんに関係すること全てだと。

同時になんでか分からないが、とても嫌な予感がしていた。

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