⁂ダイヤモンド⁂


「着てみろ」

「………」

真っ白いドレスを持つ手に力が入っていた。

「いいから、早く着ろ」

このドレスのように、あたしも真っ白になりたい。

全てを白い色で、塗り潰してしまいたい……。

目の前にある真っ白なドレスを見ながら、そんな風に思ってしまう。


「だったら出ろよ!!着替えっから!!」あたしの言葉に男は微笑を浮かべ頷き、部屋を出て行った。

啖呵切ってしまったものの、実際こんなドレスあたしに似合うのだろうか……

こんなドレスを着てする仕事ってなに。

想像すらつかない

着ていた服を静かに脱ぎ捨てると、渡されたドレスを身に纏った。


鏡に映る生まれて初めてのドレス姿の自分を見つめる

そこに映るドレス姿のあたしは、自分でも驚くほど似合っていた。



忘れてしまうんだ……

全てを……この真っ白いドレスのように。


もう、あたしはどこにもいない。

柚来という、あたしは……いない。

そう心の中で呟き、大きく深呼吸をし部屋をでた。

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