⁂ダイヤモンド⁂
「光くんこっち座って♪」
あの甲高い声で言い美波が立ち上がると、あたしと美波の間に“光くん”を座らせようとしていた。
「失礼します」
そうまた、あの笑顔であたしに言うと“光くん”は静かに腰を下した。
なんだか変だ、この逆バージョンあたしにはきつい。
周りを見渡すと、男の子たちはみんな笑っている。
中には女の子に接近して触れていたり……
「嘘くさっ……」見渡せば見渡すほど、全てが偽物に見えてくるこの空間
美波は同業なのに、こんな風に感じないのだろうか……
「名前……」
「えっ?」
「名前聞いてもいい?」
“光くん”が、人間観察しているあたしに言うと
「未来」とぶっきらぼうに答えた。
そんなあたしに優しそうに笑いながら「未来かぁ~」とお酒を作りながら言うと、目の前のコースターに雑にグラスを置くと、
「変な名前……」と静かに呟いた。
はっ……!?
そう思うのに時間は、かからなかった。
“光くん”が作ってくれたグラスに注がれたお酒は、あたしの手によって自然に彼の頭へと注がれた……
「未来さんっ!!!」
慌てて美波があたしの手から乱暴にグラスを取りあげると“光くん”は「おもしれ~」と自分で持っていたハンカチで顔を拭いてあたしに笑顔を向けた。