恋ノ神

頭から手を話すと、瀧太郎は人形のようにフラフラと図書室見向かって歩いていった。
念の力が消えるのは目的を果たしてからだ。
それまではたとえ殴られようとも蹴られようとも消える事はない。

図書室に入ると、やはり蒼がいた。
念の力が消え、瀧太郎は目を覚ましたような顔になる。

「誰?」
「あっ・・・。」

蒼がいきなりこちらを向いて言ったため、瀧太郎は少し動揺する。
しかし、次に瀧太郎はいつもの気を取り戻すかのように勝気な口調で言う。

「そ・・・それはこっちの台詞だっつうの。お前こそ誰だよ。」
「・・・」

蒼はしかめっ面で瀧太郎を見る。

「五十嵐 蒼。」
「そうかよ。」

好きな相手に何を言うか。
これは最近の言葉で言うと・・・「ツンデレ」なのかもしれないと思う。
こういう相手は、意外と恋が早く発展する。

「そっちは?」
「・・・出文 瀧太郎。」
「あっそう。」

これは先ほどの仕返しのつもりなのか?
蒼の返答に私はついつい笑い出したくなる。

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