恋ノ神
悲劇はその後に起きた。
暗くなりつつある通り道の公園で、瀧太郎は柄の悪い男の集団とすれ違う。
それだけならまだいいのだが、何とその集団はいきなり誰もいない公園に瀧太郎を引きずり込んだ。
・・・・何だとぉッ!?
予想外の展開に、私は慌てふためく。
3人ほどの男達は、そのまま瀧太郎を押さえ込んだ。
彼も必死に抵抗するが、両腕を押さえつけられる。
瀧太郎のプロフィールには「喧嘩に強い」と書かれていたのに、何故だ?
「やっぱお願い事効いてるんじゃね?」
「須弥山いってきて正解だったわぁ!」
須弥山、お願い事・・・?
何かが思い浮かんだが、そんな事よりも手助けが最優先。
私は急いで近くにあった木箱を念動力で動かす。
あの中で一番リーダー格の男の上に落とすつもりだった。
しかし、その箱を男の上に落とそうとした瞬間
パシンッ
バリアーのような物が張られ、箱は粉々に砕け散った。これは・・・
『神の護り』だ。
主に怪我が多い事を仕事とする神が身に着ける術で、依頼人を他の神から護るバリアーだ。
「・・・クソッ!!」
私は悪態をついて、成す術が無かった。