恋ノ神
いつもの私なら普通に助けられた。
人間など念動力を使えば一発で勝てるはずだった。
しかし、今回は違う。
あの男は『神の護り』で私の力を防いだ。いや、彼には見えていないのだが、結果的には私の力が通用しなかった事になる。
戦争時代にはよく使われていたのだが、最近は見かけない。
「そいえばあいつ・・・須弥山がどうとかって・・・。」
須弥山とは、インドにあるとてつもなく高い山の事。
仏教からもとても神聖な見方をされている。
「須弥山・・・、『神の護り』・・・、戦う神・・・。」
呟いていると、一人だけ共通する神が居た。
「あ゛ーーーーーッ!!!」
つい大声をあげてしまった。
そういえばすぐ身近に居るではないか。
仕事を邪魔された怒りで、私の拳が震える。
「ふふふ・・・・そうか。あ奴やりおったな・・・・。」
怒りのボルテージが上がり、ついには笑いがこみ上げた。
「私を怒らせて・・・ぐふふ、ただで済むと思うなよ・・・。」
そう呟くと、私はひとっ飛びでインドの須弥山に向かった。