恋ノ神
しかし、あの時は客の想い人が客と幼馴染だったからだが、今回は全く顔も知らない者同士からスタートしたため、逆効果になりかねない。
怒りで忘れていた。
だが、上手く事を進めていく事ができれば、あの悪印象を取り消しに出来るかもしれない。
そんな事を考えていると、阿修羅が急にカレーパンを差し出した。
「腹が減っては戦は出来ぬ。日本にはそんな言葉があっただろ?インドに来たからにはカレー食ってけよ。」
「おお、ありがと。」
パンを受け取ると、私は本場の味を味わいながら噛む。
さて、あの瀧太郎に付いた悪印象をどう取り消すか。
女は格好悪い姿に幻滅する者が多い。
だからその『格好悪い』の印象をどうにかすべきだ。
「・・・なあ、お前って、強くてカッコつかねぇ奴と、弱くて顔が綺麗な奴と、どっちがいいと思う?」
阿修羅がいきなりそんな事言い出すので、空気を読めと思いつつも答えた。
「そりゃあヤッパリ強い奴かな。今みたいに弱くてカッコつけてる奴なんてただの飾りだし。」
「ふうん・・・じゃあ俺は・・・」
阿修羅が何か言おうとしたその時、私の頭にある案が思い浮かんだ。
「ん?弱い!?」
そうだ。
その手があった。