恋ノ神
昨夜の男を見つけた私は、早速男に念を送る。
「〇店の近くにある薄暗い道路を歩いて、女子高生でも襲ってみようか。」
念じた時に言った場所は、蒼の帰り道だ。
『神の護り』は攻撃でなければ通じるため、念じは通用した。
男が念じたとおり、その方角に向かった。
それを確認すると、次は瀧太郎だ。
男が動き出すタイミングを見計らって連れて行かないと蒼が襲われ損になり、彼女に深い傷を付けることになる。
瀧太郎は友達と別れて一人で帰っていた。
この道と蒼の帰り道は繋がっている。
先ほどの男と同じように念をかければ楽勝だ。
・・・と思ったが、何故かそれを拒否する自分がいた。
自分でも良く分からない感情だった。
ええい、もういいや。
そう思うと、私は早速少女の姿になって瀧太郎の前に現れた。
「おい君。」
「あ?」
鋭い目で瀧太郎が私を見た。
私はここで、自分は中学生で蒼の後輩という設定で演じる事にした。
「蒼先輩が君に会いたいんだってさ。」