恋ノ神

「おい・・・大丈夫かよ。」

息を切らしながら、瀧太郎は蒼に歩み寄る。
どうやら「喧嘩に強い」という情報は嘘ではないようだ。

「あ・・・ああ。君、結構強いな。」

驚いた声というよりも、喜びの声が感じられた。

「こう見えて結構強いほうなんだからな。」

見栄を張るように言う瀧太郎に、蒼はぼそぼそと言った。

「・・・りがとう。」
「ん?何?」
「あっ・・・ありがとう。」

そう言ったときの蒼の顔が、温かいピンク色に染まっている事に、どうやら瀧太郎も気付いたようだ。

「お前、何赤くなってんの?」
「あああ・・・赤くなんか・・・なってないっ」
「なってるし。」

そんな事を言いつつ、瀧太郎もつられて赤くなる。

「あ・・・のさ・・・」
「え・・・?」
「この前・・・公園で会った時にシカトしてゴメン。その・・・」

もじもじしながら、瀧太郎が言う。
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