恋ノ神
自分の寺をバカにされた憎しみを込めて祈っていると、美咲の近くに一人の少女が歩み寄った。
化粧品など全く使っていないことが覗える素肌。
黒い地毛。背が低くそばかすだらけの頬。
その割には大きい瞳。
緑色の体操服に馴染まない色。
美咲とは対照的な少女だ。
「えっと・・・月島さん。これ・・」
ゆっくりと少女が出したのは数学のプリントの提出期限。
「出してないってさ。今持ってるなら出してくれる?」
小さく手を出す少女に美咲は素直にプリントを出す・・・かのように見えた。
しかし、少女の手に乗ったのは一匹のネズミの死骸。
そっと触れてみると、まだ今朝死んだばかりのようだ。
何かの害虫駆除用の毒物で殺されたらしい。
他の生徒たちが悲鳴をあげている中、少女は黙ってネズミを見つめている。
「あんたこういうの平気なんでしょ?捨ててきてくんない?」
「・・・これ、月島さんが殺したの?」
殺した、その言葉を強調して少女は美咲を見る。
「そうだけど?だって~、それくらいなら殺していいでしょ?そんなのいたって邪魔になるだけでしょ~?」
「ちょと~、それ友ちゃんとかみたいなのを言ってるようなもんだよ~」
「キャハハ」