恋ノ神
これが私ならまず殴っている。
しかし、友(とも)と呼ばれた少女は美咲よりもネズミを見つめている。
「こいつらも・・・生きてるんだ。」
「え~?何か言った~?」
「自分たちがこんなことされたら・・・嫌なくせに。」
最後の言葉を強くした友に、美咲は突然掴みかかり、そのまま突き飛ばす。
「てめぇネズミなんかに同情してんじゃねーよ!」
「・・・同情じゃないさ。」
友は負けじと言い返すように言った。
「そんなにこいつの気持ちが分からないなら、自分も味わえばいい。」
唇を歪めて吐き捨てるように言うと、友はネズミを抱えて教室を出て行った。
突然の出来事に皆も私も呆然とする。
しかし、私よりも生徒たちにとっては日常のようなものらしく、数秒するとまた先ほどの状態に戻った。
しかし・・・
「何て奴だ。美咲は。」
そこそこのギャルならまだ許せたが、いじめや暴力未遂まで行っていたとは。
寺の事も加えてますますこの願いを放置したくなる。
したくなっても我慢する。
友のことが気になって校庭の方を見に行くと、片隅の土の所に死骸を埋めていた。