恋ノ神

優しいな。
そう思う気もあったが、何故だろう。
妙な違和感を感じる。空気感というのだろうか。
昔感じた事のあるモヤモヤ。
体の中に煙が上がったような・・・そんな感覚。
土を見てみると、いくつもの埋葬の跡が見られる。
やはりこのようなことは何度もあったのか。

あんな人間・・・願いを叶える価値などあるのだろうか?

強く鼻息を吹くと、さっさと美術室に向かった。
と言うのも、次の授業は美術だったからである。

友が教室に帰って行ったあと、授業が始まった。
いつも騒いでいると覗える美咲は、やはりいつもと同じ。
しょっちゅう友人の所に移動した。

「あはは」
「でさー」

作ったように高い声が美術室に響く。

「あのー・・・」
「は?」

美咲が振り向くと、後ろには学。
てっきり反抗するのかと思ったが、美咲は純粋に顔を赤く染め、急に慌てだす。

「あっ・・・せ・・・先生・・・。」
「授業中ですから、いったん戻って。今回の作品は展示されますから。」

学は誰にでもそうなのか、優しく笑って言う。
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