恋ノ神
学校が終わり、私は一時この先のことを考えるために寺に戻った。
すると、寺の中に誰かいる。
自分と同い年らしき少年。
猛虎のような瞳と髪。
阿修羅だ。
「よぉ。」
「なぁーにが『よぉ』だ。ってか何勝手に入ってきてんだ。」
「お前もよく無断侵入してくるじゃねぇか。」
「~・・・。まあいい。せっかく来たんだし、干し柿あげる。」
「サンキュー」
2人でいすに座り、干し柿にかじりつく。
「そういえばよ、上手くいったのか?今回の願い。」
「それが・・・結構たちの悪い奴でさ・・・。」
「これまたドンマイだな、おい。」
「うるさい。」
いつもの如く一度との様に言う阿修羅に言ってやる。
私の所に阿修羅が来ることは珍しくない。
神の友達といえば『櫛灘姫(くしなだひめ)』や『冥界のハディス』もいるのだが、特に阿修羅が一番よく行き来している。
「それはそうと、お前、バレンタインデーっていつだよ。それと、何あげればいいんだ?」
「一気にいくつも聞くなよ。2月14日。女が好きな男にチョコレートあげるっつう行事。アメリカではそれが逆らしいけどな。」
「・・・そうか。」
阿修羅は物忘れが激しい。
いつも似たようなことを聞いてくるが、すぐに忘れてしまう。