恋ノ神
「んじゃ、俺時間だから帰るな。」
「早いなおい。どんだけ前からここにいたんだよ。」
「・・・3時間前から?」
「何ぃ!?」
まあそう驚くなよ。と、阿修羅が言う。
「3時間なんざ神にとっては3秒と無いくらいの時間なんだぜ?そう怒るなよ。」
「お前・・・聞くだけ聞いて帰るつもりか。」
「さよーならー」
「オンドリャー!!」
最後にそう吠えてやると、阿修羅は満足げに去って行った。
「ったく、何なんだ。」
そう毒づいて、再び美咲の様子を見に行った。
綺麗な白い二階建ての家。
きっと暮らしには困っていないだろうな。
そう思ってドアをすり抜けてはいると、意外な光景が広がっていた。
机を叩く音、ガラス・・・花瓶の割れる音、男と女の怒鳴り声。
ビクッとして覗いて見ると、美咲の両親らしき男女が口論をしている。
周りにはごみが広がり、外見からは想像の付かない光景だ。
部屋のすみに目をやると、美咲が悲しそうな表情でうずくまっている。
『2人とも・・・もうやめてよ。』
その声が美咲だと気付いたのは、数秒たった時だった。