恋ノ神
部活が終わった後、美咲は暗くなるまで友達と夜遊びしていた。
ジュースの缶をポイ捨てにすると、美咲は友達と別れて一人で夜道を歩いていた。
こんな夜道に娘が一人で出歩くのもどうかと思うが、家に帰ってもどうせ同じ事だろう。
空中で頬杖を付いていると、美咲の後ろに複数の人影が見えた。
「・・・?何だあれは・・・。」
私がそう呟いた刹那、5人ほどの影がいっせいに美咲に向かって飛び掛った。
「!!」
「キャアッ!」
美咲が悲鳴をあげる。
殴りかかってきたのは先程別れた友達、同じ組の生徒だった。
皆感情の無いような瞳でひたすら美咲を殴りつける。
美咲はいっせいに攻撃されて成す術が無かった。
殴る合間に、殴っている者たちの口から呟くような言葉が聞こえる。
「君は皆にとって邪魔だ。」
「お前なんていらない。」
「死ねばいい。」
特に感情の無い声が不思議に思えたが、とにかく彼らを美咲から放す事を優先し、力を手に集中させた。
その時だろうか、私背後に邪気を感じたのは。